ルイ・ジャンモ Louis Janmotは、象徴主義が興隆する以前に、ナザレ派(19世紀初頭のドイツの画派で、厳格な宗教的共同生活を理想とし、中世の聖なる美術の再現を目指した)あるいはラファエル前派とも共通する理想主義的かつ神秘的な傾向を特徴とする画家である。
1814年にリヨンに生まれ、1831年にリヨン美術学校で学んで優秀な成績を修め、1833年にパリに出て、パリ美術学校のヴィクトール・オルセルの教室に入るが、一方でアングルのアトリエにも通った。 1835年から36年に掛けてはアングルに同行してイタリアに赴いている。 ジャンモの絵画の多くは教会からの注文を得て描かれたが、彼自身の宗教的信念は、近代主義的カトリック教徒の護教論者の影響を強く受けている。 一方で、彼が個人的に精力を傾けたのは「魂の詩(The Poem of The Soul)」と呼ばれる18の寓意的油彩、16の素描、そして詩からなる作品で、これに40年以上の歳月を注いだ。この連作は魂の精神的肉体的変遷をたどるもので、母性愛、神そして世俗の愛というテーマが繰り返されている。 また、この連作は、自伝的内容や1848年の革命など同時代の政治的事件をも反映しているといわれる。 これはやがてボードレールやゴーティエらに評価され、ドラクロアの後押しもあって1855年の万国博覧会で公開されたが、大衆には理解されることはなく、その後この画家は不遇のうちに忘却の淵に追いやられてしまうこととなった。 ジャンモの、主題に対する個人的あるいは詩的な取り組みはロマン主義と象徴主義を繋ぐ重要な役割を果たしている。 事実シャヴァンヌ、ドニ、そしてルドンが彼の作品を称賛している。 (横浜美術館 学芸員 新畑泰秀 氏の解説を参考に) First Communion The Golden Ladder The Ideal The Soul's Flight Virginitas Dream of Fire Fatal Fall Goodbye Love The Orgie
by sigma8jp
| 2008-11-25 02:09
| 「聖書と霊界」の風景画家
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