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フロイトの夢分析

(フロイト1859~1939年ウイーンの精神科医で精神医学・心理学者で1900年の夢判断はあまりにも有名)

  フロイトによれば、夢は人間の願望を満たすためのものであり、わたしたちの見る夢はすべて何らかの意味のあるものだとしています。そして夢には願望がそのままの形で現れる場合と、潜在的な願望が形を変え歪曲されて現れる場合があるとしています。

後者の潜在的な願望とは夢を見ている本人にも分からないような抑圧された無意識的な願望のことで性愛的な願望が常に含まれているといわれています。このような夢の変装を見破り隠された願望を探り出すためにはフロイトの説いた四つの夢の性質「不安」「退行」「抑圧」「検閲」について知っておく必要があるでしょう。


■「不安」不安の大きい人ほど大きな夢を見る
 夢のフロイト心理学でよく取り上げられる代表的な夢に、猛獣に追われて逃げまわっているのがあります。このような夢を見た後は恐怖のあまりびつくりして目を覚まし夢でよかったと胸をなでおろすでしょう。この夢は幼児期に親から受けた圧力が潜在的な不安となって現れるものとされています。

また気の強い嫁からいじめられる姑も同じような夢を見ることがあることから、この夢は必ずしも幼児期の不安の現れだけとは言えません、要するに強いものにいじめられる時の不安感が夢に表れるというのが特徴であるといえます。

不安は他にもいろいろな夢になって表現されます。例えば歯が抜ける夢や髪の毛が抜ける夢もそうです。夢のフロイト心理学では、このような歯が抜ける夢や髪の毛が抜ける夢を性的な能力への不安や性的な葛藤による不安と結びつけて分析しています。しかし、このような「不安夢」は繰り返し見ることによっていつの間にか不安が解消されてしまうことが判明されています。夢にはこうした不思議な浄化する作用の性質も持つています。


■「退行」夢のタイムスリップは逃避飛行
  現代社会では個人の自由があまりにも尊重されているために、何をするにつけても、かえってどうしたらいいのか困惑してしまう人が多いのではないでしょうか、例えば恋愛を楽しむ自由もあれば恋なんてしない自由もあります。

結婚する自由もあれば結婚しない自由もあり、さまざまな自由の中で若者はなかなか心を調整することが出来ず、不安や葛藤に悩ませれてしまうことが多いものです。この心の不安や葛藤は緊張を強めてストレスへとつながつていきます。すると心は乱れはじめ、ついにはすべてを放棄して子供のようにだだをこねて、まったく自由でなくなったように泣き叫ぶ状態に陥るところの心理学でいう退行現象が見られる人もいます。

一般的にこのような状態の時は夢を見やすいということが言えます。つまり前項「不安」でも説明しましたように、不安や葛藤により心のバランスを失い、悪夢や不安夢を見やすい状態になっているのです。

ところで、この退行は夢の中でも起こります。夢の中では、タイムスリップして過去の出来事がよみがえってくる現象として表れます。まさに以前の状態に逆戻りして行くのです、特にナルシスト的な自己愛の強い人や自己中心的な人が不透明な不安に襲われたりすると夢の中で自分の幼児期に逃避するかのごとく、このような夢を見やすいようです。しかし最近の夢の世論調査によると現実の出来事や日常生活の一部が夢に表れることが圧倒的に多く退行の形で表れることは少なくなっているようです。


■「抑圧」どうして夢では理解不可能なのか?
 前述のとおりフロイトは夢は人間の願望を満たすために存在するものだと説きました。この願望とは日常生活の中で満たされなかったもので、ささいなものから、近親相姦などの性的欲求や人によっては殺人などさまざま夢です。

人々はこのような願望が心の中に沸いてきても、それらが実現できないものであったりすると、なんとかそれらを忘れようとして無意識の世界に閉じ込めてしまうのです。またかといって非常に感情的に興奮したり恐怖に脅えたり嫌悪感を感じたりしたことなどが、記憶としてインプットされず本来は忘れてしまったと思い込んでいたことも、無意識の世界に押し込まれていることがあります。

このように抑圧された無意識の中の願望や感情は夢となってさまざまな形で表れてきます。なぜなら眠っている時は精神的緊張がゆるみ、今まで抑圧されてきたものが一気に溢れ出るという説もあります。つまり抑圧されてきた願望をゆるみの中で満たすことによって心のバランスをうまく保っているのです。

しかし実際に見る夢の内容は支離滅裂でどんな意味があるのかもさっぱりわからないようなものがあるのは、皆さんの経験から多いのではないでしょうか。例えば父親が大好きな女の子が、その気持ちを無意識の中で押さえようとして夢の中で大勢の人がまわりにいる前で父親と派手なケンカをしているというのもそうした夢の一つでしょう。

夢は眠っている間の心理現象ですが、内容がはっきりしないことが多いために、忘れてしまっているものが少なくありません。


■「検閲」夢には映倫のように検閲のチェックがある
  ここでは夢の驚くべき一面を紹介しましょう。なんと夢はあなた自身の内なる表れでありながら、あなた自身が気づかないところで内容を改ざんして編集してしまっているのです。例えばきわどい性描写の夢とか寝汗でびっしょりなるような恐ろしい夢を見たとします。

しかし実は性描写されたものは無意識の世界ではもっとグロテスクな意識であったり、夢の中のとてつもない恐怖は実は気味の悪い復讐であったりするのです。まさか自分ではそこまで思っていたとは信じられないような心の働きが無意識の世界ではあるのです。

ところが、そこに「検閲」という作用が働いているために無意識の世界に秘められた内容は夢の中に表れてもいいような内容に置き換えられてしまっているのです。つまり検閲とは抑圧された願望が夢となって表れてくる前に、その願望をチェックして、あまりにも激しい感情や不都合な願望にブレーキをかける役目をしているのです。

その結果として願望はひどく歪曲され姿をがらりと変えて夢に表れるので、何を意味しているのか、どうしてそんな夢を見るのがさっぱりわからなくなってしまうのです。そのため、その人とってそれほど重要でないことが夢の中心となることがあります。ですから夢分析で大切なことは検閲された夢の持つ本当の意味を見破ることなのです。

滝沢清人著 「夢分析」より
by sigma8jp | 2008-11-28 01:49 | 「夢見」の心理学・象徴解読 | Comments(0)
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