カテゴリ:古代ペルシャの「ミトラ神話」( 3 )

ミトラと猛牛

  ミトラは、度々自ら猛牛を屠る英雄神として形象される。ミトラは猛犬とカラスを連れ馬に乗った荒々しい狩人として表現されることがある。ミトラはカラスと犬の助けを借りて逃げる猛牛を追い、洞窟に追い詰めてこれを格闘の末に倒すのである。

こうした戦う神としてのミトラは、遊牧民族の生活習慣の反映であるとともに、違約者に対して容赦なく懲罰を与える神としての性格を物語っている。犬(もしくは狼)とカラスを連れ、放浪する報賞と懲罰の神の性質は、ゲルマン神話のヴォータン神や北欧神話の主神オーディンに引き継がれている。

ヴォータン神話は小アジアのヒッタイトから、鉄器生産技術とともにヨーロッパにもたらされたと言われる。ヴォータン神がミトラの戦う神の性質を引き継いでいたとしても、不思議ではないのである。
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 ミトラ教の秘儀では、洞窟もしくは洞窟を模した神殿で牛を屠る。もともと遊牧民族の和平調印の儀式が荒野に設けられた幕舎で執り行われたであろうことを思えば、これは不思議なことに思える。しかし、ミトラ神には、遊牧民族の神との性格とは別に、水利事業の神という性格があるのである。

ミトラ神話の中には、ミトラが岩山を杖で叩くと水が吹き出すという奇跡の話がある。これは、旧約聖書のモーゼの奇跡に引き継がれているのだが、トンネルを利用した地下水道建設を意味し、ミトラ教と水利事業との関係を意味するとされる。

沙漠の遊牧民の神ミトラが、なぜ水の神の性質を帯びるようになったのか。その理由を知るには、イラン系遊牧民ペルシャ人のチグリス・ユーフラテス河流域征服について語らなければならない。つまり、アケネメス朝ペルシャ、ペルシャ帝国の建国である。
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by sigma8jp | 2008-11-10 20:37 | 古代ペルシャの「ミトラ神話」 | Comments(0)

ミトラ神

  インド神話では、契約によって結ばれた「盟友」をも意味し、友情・友愛の守護神とされるようになった。また、インドラ神など他の神格の役割も併せ持った。リグ・ヴェーダなどではヴァルナとは表裏一体を成すとされる。この場合ミトラが契約を祝福し、ヴァルナが契約の履行を監視し、契約に背いた者には罰を与えるという。

後世のインド神話ではあまり活躍しない。アディティの産んだ十二人の太陽神(アーディティヤ)の一人で、毎年6月の一カ月間、太陽戦車に乗って天空を駆けるという。

その後、ペルシャではミトラ神が水瓶座とイメージを重複するようになる。
パビロニア信仰の原理基盤で教義された2800年に溯るミトラ教は、ペルシャからインドを通じて中国へ、西洋ではローマン文化を基点にスコットランドからサハラ砂漠、そして、スペインからは黒海へと布教された真実、正義、忠実を象徴とした "世界の光" を説いたゾロアスター教の原点でもある。

社会契約と友情の神で祭られた神が虚偽を破壊するアフラ神に変化され、光のエッセンスと進捗された経路である。古代インドも含め、石から生誕したフィジカルな青年像(少年)のミトラ神は、太陽の聖火を掲げていたり、降雨目掛けて雲に矢を放つ像で知られる。

宇宙・秩序の神と崇めて建立されたミトラ寺院には、蛇(蠍)が牛の息や性器に迫り、ミトラ神が聖刀で牛を裁く図象が上段の獅子と共に必ず見られる。これは、宇宙を牡牛座(時代)から御羊座にシフトさせるミトラ神力を定義し、水瓶座と同じ不動宮に属する御牛座、獅子座、蠍座の4宮を宇宙軸とした天文術星図の見解から描写されたモチーフである。
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by sigma8jp | 2008-11-10 20:12 | 古代ペルシャの「ミトラ神話」 | Comments(0)

ミトラ教とは

ミトラ教
  ミトラ教またはミトラス教 (-きょう,英語:Mithraism) は、インド・イランの古代よりの神話に共通する、太陽神ミトラ(ミスラ)を主神とする宗教である。ヘレニズムの文化交流を通じて、地中海世界に入り、主に、ローマ帝国治下で、紀元前1世紀より5世紀にかけ、大きな勢力を持つ宗教となったが、実体については、不明な部分が多い。
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アーリア人の神ミスラ
 元々、ミトラス神は、アーリア人の古い神話に登場する光明の神であり、イランの『アヴェスター』においても、インドの『リグ・ヴェーダ』においても登場する有力な神であった。ゾロアスター教でも、ミトラは中世ペルシア語でミフルヤズドと呼ばれ、重要な役割を持ち、多数の神々のなかでも特殊な位置付けであった。

ミトラに対する信仰というものは当然存在したが、ミトラを主神とする、ミトラ中心の宗教が存在したのかどうか、学問的に確かなことが分からない。

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仏教の弥勒信仰
  仏教には、弥勒菩薩が存在し、「弥勒信仰」がある。この弥勒は、サンスクリット語ではマイトレーヤというが、マイトレーヤとは、ミスラの別名である。またはミスラから転用された神名であり、仏教では菩薩として受け入れられ、マイトレーヤを軸とした独特の終末論的な「弥勒信仰」というものがある。
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マイトレーヤ信仰とミトラ教
 仏教の弥勒信仰以外にも、イランやインドでは、ミトラ信仰があり、マイトレーヤ信仰があったことは分かっている。マイトレーヤ信仰または弥勒信仰が、中国に伝わり、独特な宗教を構成したとする考えも、かなりな歴史的妥当性を持って確認できる。

しかし、仏教のなかの弥勒信仰であり、またインドにしてもイランにしても、それぞれの伝統宗教を背景としたミトラ信仰であり、マイトレーヤ信仰であった。ローマ帝国治下のミトラス教は、独立した宗教であったことは明らかである。しかし、メソポタミア、イラン、インド、西域、中国などにも流布されたとされる「ミトラ教」とは、どのような宗教であったのか、独立した宗教として捉えてよいのかどうか、疑問の余地がある。

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クリスマスとミトラ教
  12月25日はイエス・キリストの誕生日としてキリスト教の祭日となっている。しかし、実際にはイエス・キリストがいつ生まれたかは定かではなく、12月25日をクリスマスとして祝うのは後世に後付けされた習慣である。聖書にもイエス・キリストが生まれた日付は記述されていない。

前述のローマ帝国時代において、ミトラ教では冬至を大々的に祝う習慣があった。これは、太陽神ミトラが冬至に「生まれ変わる」という信仰による。(短くなり続けていた昼の時間が冬至を境に長くなっていくことから)

この習慣をキリスト教が吸収し、イエス・キリストの誕生祭を冬至に祝うようになったとされる。
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by sigma8jp | 2008-11-10 17:32 | 古代ペルシャの「ミトラ神話」 | Comments(0)