カテゴリ:「ピラミッド・テキスト」( 2 )

古代エジプトの神々

エジプトの神々は、統一されたひとつの神話大系のなかに収まっている訳ではない。

 その結果、創造神や宇宙神が何柱もあり、これに部族神や、都市の守護神が加わり、混乱を極めている。古王国の宇宙創造神話のなかで、最も有名なのはヘリオポリスの九柱神である。第3王朝から第5王朝にかけて、王の墓所のなかを埋め尽くした『ピラミッド・テキスト』によれば、大九柱神は以下のとおりである。左が男神(兄、夫)で、右が女神(妹、妻)である。

                 ラー・アトゥム

                    │

               │          │

              シュー ──── テフヌト

                    │

               │          │

             ゲブ ────── ヌゥト

                    │

      │          │    │          │

    オシリス ──── イシス  セト ──── ネフシス

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〔 ヘリオポリス神話 〕
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<ヘリオポリスの九柱神と、エニアグラム・ナンバー>

■アトゥム神 (9)
  ヘリオポリス神学においては、混沌の中から出現した、宇宙のなかで最初に存在していた神で、口から大気の神であるシュー神とその妻テフネト女神の2神を吹き出して創造したといわれている。そしてこの2神からさらに大地の神であるゲブ神と天の女神であるヌゥト女神が生まれたとされている。 複合冠を被る姿で表される。

■シュー神 (3)
  大気の神。ヘリオポリス神学においうてアトゥム神の口からテフネト女神とともに最初に吐き出された神。天の女神ヌゥトを両手で支える人物としてあらわされた。大地の神ゲブと天の女神ヌゥトの父。

■テフネト (6)
 テフヌト(Tefnut) は、古代エジプト神話の湿気の女神で、雌ライオンもしくはライオンの頭を持った女神として描かれる。テフヌト、テフヌウト、テフェネトなどとも表記。ギリシア語ではトフェニス。ヘリオポリス神話では創造神アトゥムの自慰によって誕生したとされる。兄でもある夫、大気の神シューとの間に、大地の神ゲブと天空の神ヌトをもうける。夫であるシューの妻としての伝承ばかりで、テフヌト単独での伝承はほとんど見られない。

■ゲブ神 (4)
  大地の神。アトゥム神に創造された大地の神であるシュー神と妻テフネト女神の子。天の女神ヌゥトの夫で、オシリス神、イシス女神、セト神、ネフティス女神の父。横たわる人物として表現された。

■ヌゥト女神 (5)
  天の女神。体が天空を形作る裸の女性の姿で表現された。彼女の体は太陽の航行する道でもあり、星が散りばめられたところでもあった。 彼女は夕方、太陽を飲み込み、朝これを生み出す。王家の谷にあるラムセス6世の玄室天井に描かれたヌゥト女神の姿は有名。シュー神、ゲブ神も参照

■オシリス神 (1)
  冥界の支配者。両手には王権の象徴である王笏を持つ、足はミイラのように束ねられている。オシリス神話ではイシスの夫であり、ホルスの父である。身体の色は再生復活を意味する緑の色に塗られた。人間は死ぬとオシリス神になって復活すると考えられていた。 豊穣の神としての性格も合わせ持つ。

■イシス女神 (8)
  エジプト名はアスト。オシリス神の妻であり、ホルス神の母。死者の内蔵を守る4人の保護女神のひとり。頭上に王座をのせた女性、あるいは牛の角をもち日輪をつけた女性として表現される。フィラエ島のイシス神殿が有名。

■セト神 (2)
  嵐と暴力の神。オシリス神話では、オシリス神の弟で、兄のオシリスを殺したことにより、ホルス神と敵対したと されている。正体不明の動物の頭をした人物として表現された。また、セトは上エジプトのオンボス(現在のコム・オンボ)で信仰されていた形跡があり、そこから、セトには『われは、オンボス市のもの』という形容語を持っている。

■ネフティス (7)
  ネフティスは、エジプト神話に登場する女神。エジプト名ネベトヘト (Nebet=Het) 。 オシリスの妹、セトの妻。セトにそむいてオシリスの復活のためにイシスに協力し、死者の守護神となる。

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これに対して、小九柱神はホルスを頂点に、小神を配置してある。
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もう一つの大系としては、ヘルモポリスの八柱神である。かれら四組の夫婦は、共同して宇宙を創造した。


 男神 ヌン ───── フフ ─────  クク ───── アメン

      │         │          │           │

 女神ナウネト ─── ハウヘト ─── カウケト ─── アマウネト


さて、新王国時代になると最も重要な神格は、オシリスであった。民衆レベルに死後の国の支配者であるオシリスへの信仰が高まり、死してオシリスと合一することが最高の栄誉となった。そこでヘリオポリスの大九柱神の第4世代、ゲブの四人の子供たちが重要な配役を担う。

I∴O∴S∴の神殿儀式では、《竜の式文》が「生まれなき者」の儀式に先行して行われるが、東の門に該当する神格は、ヘル=ラ=ハである。HRHは、天空神としてのネフシスの側面を代表し、神殿の上位神格ホルスにアクセスする。ここで神殿は神話体系のなかに組み込まれる。

オシリス=イシスの対及びセト=ネフシスの対は配偶者であり、下図では横線で示される。

一方、オシリス=セトは兄弟であり、対立者。イシス=ネフシスも姉妹であり、対立者である。その構図は、この図式では対角線で示される。

さらに、イシス=セト及びオシリス=ネフシスという組み合わせもあり、これらは神話では不倫関係を暗示する《誘引》の縦線である。

超越者であるホルスは、オシリス=イシスの息子という形態を借りてこの四者構造のなかに出現する。神話によれば、かれはセトに対抗する復讐者である。


         西   ←---配偶関係---→   北

            イシス          オシリス

             ↑      息子      ↑

            誘  引   ホルス    誘  引

             ↓      復讐者     ↓

            セ ト          ネフシス

         南   ←---配偶関係---→   東


しかし、この図は時代神ホルスの多面性のため立体化する。

すなわち、《上なるホルス》はHPKであり、《下なるホルス》は復讐者としてのHVで、中間にはRHKが発現する。RHKは、4神の緊張構造を緩和するため四隅点に四人の息子を配置する。これにより、時間軸に沿って引き延ばされた二つのピラミッドが生まれる。

神殿の配置は、これを模擬するものとなる。

この図式では、祭壇にRHKが顕現し、地上の神殿を差配する。

上向きのピラミッドは高次への熱望を運び、下向きのピラミッドは源初の激情を運ぶ。

神殿の周囲には光の周行によって導かれた《光の螺旋の蛇》が巻きつき、神殿の上下軸は、そのまま宇宙の軸(AXIS MUNDI)である《時空軸の蛇》となる。 このふたつの蛇により、神殿は回転しつつ自在な座標に向くのである。

ここに示すエジプト神の描写は、膨大な神格、神話のごく一部に過ぎない。

プロベイショナーは、入手しうる限りのエジプト神話の書物を読破し、それぞれの神話体系に肉付けすること。特にオシリス、イシス、セト、ホルスの神話は、新王朝のオシリス信仰時代に属する書物は当然として、古王朝の神話も読破してみる必要がある。

書物を猟歩することで、神々の性格が浮き彫りにされていき、プロベイショナーの意識野に新たな神話領域が広がって(あるいは元型的な神話世界が拡張して)いくであろう。

I∴O∴S∴の神話体系では、と断ってある記述は儀式魔術的配置に整合性をもたせた当団独自の神話体系である。

儀式の項において、「シューはイェソドに帰属する。」と書いてある場合は、「シュー神の姿形(god-form)がイェソドに帰属する。」という意味である。魔術儀式で操作可能な類型部分の帰属を述べているだけであり、エジプト神の神格全体をひとつの型に押し込める訳ではない。時の経過とともに忘れ去られた神々もいれば、今なお膨大なマナを保有し、人間精神に影響力を与える神々もいるのである。

また、プロベイショナーは《生命の木》の上に神々の絵姿を乗せ、名前を書き込んでみること。それは、本来、配列をもたない神話空間のマッピングを行う試みである。従って、必ずしも小径の配列と整合性が取れている訳ではない。そして、アレイスター・クロウリーの『777の書』などとは違う配列もある。それらに疑問を抱きつつ、理由を考察してみなさい。

それもまた学習の一部である。

(神話大系略・・・『実践魔術講座』下巻参照のこと)
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by sigma8jp | 2008-11-15 01:05 | 「ピラミッド・テキスト」 | Comments(0)

ピラミッド・テキストとは

エジプト最古の葬祭文書。古王国時代後期と第一中間期の9基のピラミッドの壁に縦書きにされた約800の呪文、あるいは「言辞」からなる。

 現存する最古のピラミッドテキストは、サッカラにある第五王朝のウナス王のピラミッドに刻まれた物である。ピラミッド・テキストの中で太陽崇拝への言及が度々なされることから、テキストを制作したのは、おそらくへリオポリスの神官達ではなかったかと考えられている。
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by sigma8jp | 2008-11-10 01:14 | 「ピラミッド・テキスト」 | Comments(0)