カテゴリ:両性具有「アンドロギュノス」( 1 )

両性具有

 男性と女性の両方の性を有する「両性具有者」としては、ヘルマフロディトスとアンドロギュノス(アンドロギュヌス)とが一般的に知られています。

前者は名前から想像がつくとおり、「ヘルメス」と「アフロディテ」という男女を代表するギリシャ神の名前を合わせたもので、これを両神の子供とするヴァリアントがあります。一方後者は、プラトンの『饗宴』の中で語られるところの、「もともと独立した第三の性」として知られています。

ヘルマフロディトスがもともとは男性で、彼に恋焦がれた女の妖精が重なることで両性性を有するようになった<合体>であるのに対し、アンドロギュノスはもともと両性性を有していたのにゼウスによって切断され<分離体>となった点で大きく異なり、錬金術とそこから派生した図像伝統においても両者の性格に即して用いられてしかるべきなのですが、わりと曖昧なまま混同して使われています。

基本的には最初から両性を有していた状態を<もともとの完成形>と当然ながらみなすわけで、よってこれを<第一質料>の図像として用いることになります。もともと原初の状態では単一のものであった二つの物質を、溶解して最初の完成形に戻してやる作業と解釈されていますから、まさにピッタリとはまる図像となるわけです。ウロボロスの図像が果たす機能とよく似ています。

b0140046_2581563.jpgしばしば登場する図像なので、初回は基本だけ紹介するにとどめます。重要なことは、もともと単一の状態から性を分離する文脈によってアダムをアンドロギュノスとみなし、結果的にイヴの分離がここでの<不完全形の生成>と結びつく点です。また、両性を持つ=二つ顔がある、という点でヤノア(ヤヌス)神とも関連します。




図版 15世紀の写本。チューリッヒ、中央図書館蔵。
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by sigma8jp | 2008-12-01 03:00 | 両性具有「アンドロギュノス」 | Comments(0)