堕天の理由

Ⅰ 驕り
「天使の位階の一つがその下なる位階と共に神に背き、信じがたい考えをいだきて、大地の上なる雲よりも高く御座をもうけようとした」(『エノク書』)
かつて神の副官であり、他の天使たちを統べる大天使長であり、もっとも力を持ち神の寵愛をもっとも受けていた天使がルシファーであった。しかし、それだけの地位と力を持ったことが彼に傲慢の心を抱かせることになった。自分が神の代わりに天の御座に着くことができるのではないかと考えたのだった。
「ああ、おれはすばらしく輝いている。いかにもおれは尊い君主であり、神よりも尊いのだ。おれが神より尊い証に、神の玉座に座って見せよう」(ミルトン『失楽園』)
そして彼は他の天使たちを率いて神に反旗を翻した。しかし彼らは戦いに敗れ、天より落とされることになる。

Ⅱ 嫉妬
ルシファーら堕天使たちが神に反旗を翻した理由に、驕りではなく嫉妬からとする説もある。初めに天使たちが創造され、その後土塊から人間が創造され、神はこの人間を天使たちよりも上位に置き、寵愛を注いだ。しかし、新参者であり力も劣る人間が自分たちよりも上位の地位に置かれ、寵愛を奪われたことがルシファーを初めとする堕天した天使たちの不満を買い、反乱が起きる結果となった。『失楽園』でもルシファーは自分が神に背いた理由に驕りだけでなく人間への嫉妬心があることも独白している。

Ⅲ 不従順
これは前記の嫉妬とも重なるが、神への不従順もある。神が人間を創造したとき、天使たちにこの新しい被造物に服するように告げた。しかし、炎より生まれた自分たちがより劣る土塊より生まれた人間に服することはできないと反抗した。
さらに大天使長であったルシファーは神をもっとも愛した天使であり、神がはじめに天使たちを創ったときに神だけを敬うように告げていたことを忠実に覚えていて、神以外の者に服することはできないと考えた。神はその命令は忘れ人間へ服従するように言うが、彼は断固として人間への服従を拒否した。だがこうした彼の神への強すぎる愛と嫉妬は理解されず、彼は天から追放されることとなる。
地獄へと落とされた彼は自分にかわって新たに寵愛を得た人間たちを憎むことになる。

Ⅳ 欲情
グリゴリという人間を監督する役目を持った天使たちがいた。地上の美しいアダムの娘たちの魅力に取り憑かれ、神から禁じられていたにも関わらず、地上に降り立ちアダムの娘たちをと交わり同棲した。
彼らはさらに、同様に禁じられていた天の秘密の多くを人間に教えた。金属を加工する技術、美しくなる化粧の方法、天文学など。そうした知識を人間に与えたことも神の怒りを買うことになった。

Ⅴ 自由意思
神は通常の天使たちとは違い、自由意思を持った天使をも創りだした。この自由意思を持つ天使は神とも対等であり、かつ自由の身であった。
彼らは神と一つであることを避け、神から離れていった。あまり天界から離れなかった者もいれば、下界の大気にまで落ちた者もいる。さらに地上にまで落ちた者は肉体をまとい人間となった。さらに遠くまで落ちていった者が悪魔となった。
ギリシアの神学者オリゲネスは天使が人間になるのと同様、人間も天使になることができ、また悪魔が天使に戻ることもできると主張した。
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by sigma8jp | 2008-10-30 04:30 | 堕天使と悪魔の階層 | Comments(0)
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