アカシックレコード (Akashic Records)と は、宇宙や人類の過去から未来までの歴史全てが、データバンク的に記されているという一種の記録庫をさす概念である。多くの場合、宇宙空間それ自体に、一種の記録がなされると考えられており、アカシャ (Akasha) とはサンスクリットで「虚空」、「空間」を意味する。
神智学(あるいは人智学)やリーディングの伝統(チャネリング)などでは、精神的に目覚めた人は、この記録から、意のままに過去や未来の情報を取り出すことができるようになり、そして自己の人生の意義や存在の理由がわかるとされる。多くの預言者や神秘家がこれにアクセスし、予言として世に伝えてきたとされている。 これらの類似概念は極めて古くから見られるが、直接にこの語が使われるのはインドに本拠地をおいた神智学協会の創始者ブラヴァツキーの主張に始まると見られる。ドイツの神秘思想家ルドルフ・シュタイナーは、後の人智学協会の神智学協会からの独立の過程で、アカシャ・クロニクル(年代記。この英訳語がアカシック・レコード)の概念を高度に体系化し、派生的な様々な影響を与えた。 倫理の源泉としての死後の実在の観念が、社会的に揺らいだ時期である19世紀末ごろには複数の人物が、同時多発的に類似の概念を提唱している。少し前後して、イギリスの心霊科学研究で、場所の記憶をめぐる説明概念である「残留思念」が提唱されている。 残留思念はその元にルヴナンやアッパリッションの概念があり、日本でいう幽霊を指す言葉だが、「往来するもの・思い起こさせるもの」の意味があり、キリスト教の死者の霊魂は地上から去るという教理と幽霊の伝承の狭間で展開した民間伝承を継承している。 シュタイナーの初期の 『アカシャ年代記』 の概念にも、この観念の影響が見られ、シュタイナー初期の 『アカシャ年代記』 とは生物や万物の生成の背後にあるとするエーテル体の残滓・痕跡を意味しており、必ずしも未来の記録を含む概念ではない。また、この概念は哲学者ベルグソンの哲学にも類似性がみられる。 これらの観念はギリシア哲学に発し、アラブで発展した生気論(特に、アル=キンディー)の中に多くのアイデアを見出すことが出来る。これらの生気論では、生物のみならず鉱物や世界までもが固有の生気=霊魂=プネウマを持つと考えられた。 後にアカシックレコードの概念はエドガー・ケイシーの名前と共に知られるようになる。現在、人智学、チャネリング、リーディング、あるいはクトゥルー神話に代表されるサブカルチャーのガジェット等、様々な文脈において発展を見せており、必ずしも一様な概念ではない。
by sigma8jp
| 2008-11-10 16:24
| 前世回帰とアカーシャの記録
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