人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ミトラと猛牛

  ミトラは、度々自ら猛牛を屠る英雄神として形象される。ミトラは猛犬とカラスを連れ馬に乗った荒々しい狩人として表現されることがある。ミトラはカラスと犬の助けを借りて逃げる猛牛を追い、洞窟に追い詰めてこれを格闘の末に倒すのである。

こうした戦う神としてのミトラは、遊牧民族の生活習慣の反映であるとともに、違約者に対して容赦なく懲罰を与える神としての性格を物語っている。犬(もしくは狼)とカラスを連れ、放浪する報賞と懲罰の神の性質は、ゲルマン神話のヴォータン神や北欧神話の主神オーディンに引き継がれている。

ヴォータン神話は小アジアのヒッタイトから、鉄器生産技術とともにヨーロッパにもたらされたと言われる。ヴォータン神がミトラの戦う神の性質を引き継いでいたとしても、不思議ではないのである。
ミトラと猛牛_b0140046_20345166.jpg
 ミトラ教の秘儀では、洞窟もしくは洞窟を模した神殿で牛を屠る。もともと遊牧民族の和平調印の儀式が荒野に設けられた幕舎で執り行われたであろうことを思えば、これは不思議なことに思える。しかし、ミトラ神には、遊牧民族の神との性格とは別に、水利事業の神という性格があるのである。

ミトラ神話の中には、ミトラが岩山を杖で叩くと水が吹き出すという奇跡の話がある。これは、旧約聖書のモーゼの奇跡に引き継がれているのだが、トンネルを利用した地下水道建設を意味し、ミトラ教と水利事業との関係を意味するとされる。

沙漠の遊牧民の神ミトラが、なぜ水の神の性質を帯びるようになったのか。その理由を知るには、イラン系遊牧民ペルシャ人のチグリス・ユーフラテス河流域征服について語らなければならない。つまり、アケネメス朝ペルシャ、ペルシャ帝国の建国である。
by sigma8jp | 2008-11-10 20:37 | 古代ペルシャの「ミトラ神話」 | Comments(0)
<< アニマの片鱗 ミトラ神 >>