■アニマ(女性的側面)
男性の無意識の中に潜む永遠の女性・・・・男性の無意識の中の未発達な女性原理で、情緒的な恋愛感情をつかさどるもの。あるいは、無意識の中に潜む憧れやロマン的感情、更にはエロス的な存在として現れます。ある時は、運命の女性として現れ、詩人に霊感をもたらす想像力の根源とされます。 またある時には、破滅のふちに引きずり込む恐るべき妖怪的な女性として現れます。男性にとって、アニマの最初のイメージは母親のような女性ですが、思春期に達し、性的衝動が出てくるころから、娼婦タイプの女性として現れます。次に聖女や賢い女性へと段階的に成長していき、これらのイメージが、さらに現実の女性の上に投げかけられるようになっていきます。 ■アニムス(男性的側面) 女性の無意識の中の未発達な男性原理・・・・男性が持っているような知識や意見を告げるような存在。女性にロゴス的要素(力、言葉、意味、決断力など)をもたらすもの。最初は父親的な存在ですが、やがてはスポーツ選手やパイロットなど男らしい身体的な力を持った男性(時には悪漢や泥棒)として現われます。 やがて神父、牧師、お坊さんのような指導的な立場の人に変わり、ジャーナリストのような知的な男性のイメージとなって現れ、最後に知的で完成された老賢人のイメージへと成長していく。その過程では、現実の男性にアニムスのイメージが投げかけられて発展していきます。女性の夢の中に出てくる男性はすべてアニムスで、一般的に暗いイメージで現れてきます。 ■老賢人(オールド・ワイズ・マン) 男性の理想像で、現実の社会的権威をはるかに超えた仙人のようなイメージです。男性の成長の最終到達点であり、賢者でもあります。 若さ、永遠の生命、力、知性などを持ち合わせた、人間のあらゆる可能性を実現した完成した人間、英知に輝く父なるものの象徴でもあり、また死や破壊のイメージでもあります。夢の中では、老人、仙人、童子、男神、稲妻、雷鳴などとして現れます。 ■太母(グレート・マザー) 母なるもの。あらゆるものを育てる母のイメージ。その本能的な母性愛の強さゆえに、つい欲望の衝動で呑み込んでしまう傾向にあります。 夢の中では、年長の女性、母のような女性、年取った女性、老婆、魔女、口や乳房の大きい女、化け猫、怪獣、ドラゴン、渦巻模様や迷路、大きな花瓶、落とし穴、洞穴、地下の世界などの象徴として現れます。 男性が一人前の大人になるためには、現実の母親から独立するだけでなく、自分自身の中にあるグレート・マザーのイメージからも独立しなければなりません。 ■影(シャドウ) 無意識に抑圧された人類の本能的な部分も当てはまりますが、人はあらゆる可能性を持って生まれてくる訳ですが、性質、遺伝的要因、環境などによって、自分の得意な意識だけを発達させて成長していきます。 しかし、それとは別に未発達で取り残された意識が無意識の中に沈んでいます。つまり、経験豊富な意識に対して、未経験で消化できていない未浸透な意識があり、その未熟で幼稚な人格がシャドウです。 それら、未熟で幼稚なもう一つの人格が時として、人生の局面(ある状況・条件が与えられると)で現れれるとがあります。そうなると、今までの安定していた意識に対して、突如として意識が乱れることから、常に自己を振り回すことになります。 シャドウは夢の中では、見知らぬ人、暗い顔を持った人、性格の合わない友人、感じの悪い人、あるいは、恐ろしい怪獣のような形をとって現れることがあります。人間であれば、同性の人物として出てきます。 ※同性の人物や怪獣、猛獣などが夢の中に現れたら、シャドウと考えて、それが意味している自分の未発達面について考えてみることよいでしょう。 ■意識の仮面(ペルソナ) 人が社会で生きていくために、自分の役柄、その場、その時に合わせて様々な仮面を纏う事になります。その仮面を被る事で、父親役、母親役、彼氏・彼女役、社会人役などなど、沢山の仮面を使い分けながら、その場その時の自分の役柄に合わせ、状況に適応した振る舞を演じます。 社会で生きてゆくためには必要不可欠なものですが、これは本音と建前を上手に使い分けるなどという以外に、内的人格を保護する役目もあります。 人が現実の社会に対して見せている顔(タテマエ)。 ペルソナ(仮面)を付けるということは、相手との間にどういう距離を置くかという問題でもあり、ペルソナ(仮面)を被らないでいられるのは、自分一人でいる時だけです。もし社会的にうまくいかない、対人関係がうまくいかない、というのなら、自分がいま付けているペルソナ(仮面)が自分に合っていないということもいえます。
by sigma8jp
| 2008-11-10 21:25
| ユングの「アーキ・タイプ」
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