モンローは、霊界の音楽を「躍動感がある」といっていたが、これは生命力があるということだろう。霊界からもたらされた音楽には、すべて生命力が宿っているわけだ。無理数的曲線のあるところには、霊界からの生命が宿るのである。
その理由は、すでに述べたように、球体である魂の断片が曲線だからで、自分自身の断片に接した魂が共鳴するからである。ところで、魂や霊的故郷が球体であるのに対し、この物質世界は、本質的に直線的である。2次元的には多角形であり、3次元的には立方体で象徴される。 ところが、生命現象とは、そんな物質に魂が宿った存在なのである。象徴的にいえば、立方体に球体が、多角形に円が、直線に曲線の要素が入り込んだのだ。 その結果が、自然界に見られる“ズレ”であり“ゆらぎ”というわけだ。たとえるなら、ダンボール箱に少し大きめのボールを無理に入れてふたをしたため、箱全体が曲線的に歪んでしまったようなものである。 一方、そのズレが無理数になる理由であるが、これは球体が無理数の母体であることを考えれば、容易に想像がつくだろう。円周率πが無理数なのを思い出していただきたい。球体には無理数がついてまわるのだ。 さて、ここまできたところで、いよいよ霊界の音階について結論を出そう。 魂も霊界も、完全な球体的調和を本質とするので、そこにはズレはない。ズレは球体が直線的な地上世界に降臨した際にできたものだからだ。 したがって、霊界で響いているのは純正率だと思われる。しかし、この純正率はどの調性で演奏しても不協和にならない。完全に調和しているからである。つまり、この世にはあり得ない純正率が響いているということだ。 ところが、こうした高次元の完全調和の音階が、直線的な物質世界に顕現すると、無理数的なズレが生じる。それがつまりは十二平均律なのである。したがって、われわれとしては、このまま十二平均律の音階を楽しめばいいということになる。もちろん、場合によっては純正率の音階を使うことも、それなりに意義があり、魂の純粋性を想起させる刺激になるかもしれない。
by sigma8jp
| 2008-11-18 21:25
| 「天球の音楽」と聖なる七音
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