霊界の音階( 11 )

 では、そこから響く音楽は、高い音ばかりで低い音はないのかというと、そうではない。高い低いは相対的な感覚である。むしろ地上の方が、低い振動数ばかりだともいえるわけだ。われわれが高いと思う2万2千ヘルツの音も、霊界の高い階層にとっては、低い音に聴こえるかもしれない。

こうした理由から、霊界では高い音ばかりだということではないわけだ。相対的に高い音も低い音も鳴り響いているのである。ところで、われわれの魂は、最初から故郷である高い階層へいくわけではない。死んだ後は、最初は低い階層から階段を上りはじめる。そうして、各階層で想念を浄化させながら、しだいに上昇していくわけだ。

すでに述べたように、魂には喜怒哀楽など、さまざまな感情が付着している。これらを浄化しないと、魂は故郷に入ることはできない。
そこで低い階層では、性欲や攻撃欲といった本能的欲求が浄化されていく。もう少し階層が上昇すると、今度は妬みや自己憐憫などの感情が浄化され、さらに上昇すると、名誉欲や自我意識といった、かなり立派な人物でも持っている感情が浄化されていく。

こうして、魂の本質である愛と調和以外の感情は、魂の故郷へ到達するまでに浄化されつくすわけだ。第1章では、これを魂の汚れにたとえ、浄化音楽によって消し去ることを説明した。
しかしながら、こうした感情を“汚れ”だとか、“悪いもの”として扱うのは、実は必ずしも適切ではない。

人間という存在は、それがどのような評価を受けるにしろ、自己表現を望んでいるのだ。だから、それは抑圧しても消えたりはしない。それは表現されることによってのみ消える。浄化音楽は、表現の代弁者となることで抑圧から解放し、浄化するわけである。同様に、魂も自己表現をしたがっているのだ。

霊界の各層は、だから、さまざまな欲求の表現の場だということができるわけだ。たとえるなら舞台のようなものである。そのうち本能的な欲求は、低い層でのみ表現することが可能となる。したがってそこでの魂は、自らイメージを形成して性行為や怒りを経験する。

上層から見ると、それはまるで地獄を思わせるものとなるが、それ自体は善でも悪でもない。繰り返すが、人間のひとつの表現なのだ。程度の差はあるが、だれしもこの階層では本能的な欲求を表現し、浄化していく。

ところで、こうした低い階層で鳴り響く音楽は、いったいどんなものだろうか。
あいにく、報告や資料が見当たらないので何ともいえないが、おそらく打楽器を中心としたリズムの強い音楽だと思われる。

場合によっては音楽にまで発展せず、単なる雑音のようなものかもしれない。たとえば雷のようなゴロゴロした音や地響きのような、低い音の連打ではないかと思われる。
日本映画などで、幽霊が出るシーンになると、「ヒュー、ドロドロドロドロ」と、音程のはずれた笛と太鼓の連打の気味悪い音が入る。ちょうど、あんな感じなのかもしれない。

リズムには、それも比較的低い音域で刻まれるリズムには、本能的な欲望を刺激する効果があるのだ。この階層では、そうしたリズムにあおられて、本能的感情を表現し、浄化させられるのであろう。ここで、リズムの持つ本能刺激の効果について、少し調べてみることにしよう。

リズムは生命本能と関係する
ある男性が、木の葉の間からチラチラと光が差し込める並木道をサイクリングしていた。すると、急に意識が遠のくのを感じ、倒れそうになり、ペダルをこぐ足が止まった。自転車はそのため速度を落としたが、すると再び意識を取り戻し、事故にあわずにすんだ。

これは、木の葉からもれる光のチラチラが特定のリズムとなって、その男性を刺激したために招いたものだ。音であれ光であれ、あるいは磁気のようなものであれ、特定のリズムには、意識を刺激する影響力が備わるようになる。

ある研究によれば、毎秒8ないし12ヘルツのリズム(アルファ・リズム)の刺激を与えると、意識が変わり、気を失ったり発作を引き起こすことさえあるという。※25 おそらく自転車の男性は、8ないし12ヘルツのリズムを受けたのであろう。ところが、意識を失いかけて速度が落ちたために、そのリズムが崩れ、再び意識を取り戻したわけだ。

また次のような、少し物騒な実例もある。
その男性は、映画館へいくたびに、隣に座っている人を無性に殺したくなるというのである。あるときなど、腕を隣の人の喉にからませているのに気づき、はっとしてやめたという。検査の結果、この人は24ヘルツのリズムによってこうした状態となることがわかった。ご存じの通り、映画は毎秒24コマで映写されている。映写リズムが彼を変えたのである。

ところで自動車からは、毎秒10から20ヘルツの低い振動が伝わってくるが、イギリス音響学会は、こうした振動数は人を無鉄砲にさせるので注意が必要だといっている。われわれの身近にも、ハンドルを握ると人格が変わり、普段はおとなしいのに驚くほど乱暴になるという人がいるが、低い振動数のリズムが誘発の原因になっているのかもしれない。

また、こうした振動は性欲を刺激するという研究もあり、「女性を車の中で口説くと成功率が高い」などという雑誌もあった。だが、一歩間違うと横っ面を殴られる危険もあるわけだ。
こうしたリズムに、われわれの肉体は予想以上に敏感に反応する。

たとえば心臓や呼吸のリズムは衝動的感情と連動しており、興奮すると心拍数も呼吸数も増加し、リラックスすると減少するが、速いリズムを聞くと興奮して心拍も脈拍も増え、遅いリズムを聞くとリラックスし、両者ともに減少するのである。

むかし、まだパチンコが指で玉をはじいていた頃、店内が混んでくると、あの軍艦マーチの音楽を、速いリズムで演奏したものに変えるのだそうだ。これは友人から聞いた話で本当かどうかは保証できない。ただ、こうすると客は知らずに興奮し、指の動きが速くなり、出入りがよくなるのだという。

一方、脳波もリズムに敏感だ。ご存じのように、1から3ヘルツの脳波はデルタ波と呼ばれ、深く眠っているときの状態であり、4から7ヘルツのシータ波はやや浅い眠り、8から12ヘルツのアルファ波は、くつろいだ状態、そして13から22ヘルツのベータ波は、覚醒して知的活動をしている状態である。

この脳波に、音や光、磁気などによって独自のリズムを与えると、脳波のリズムを変えることができる。たとえば脳波をアルファ波のリラックス状態にさせたいときは、毎秒8から12ヘルツで振動する音や光、磁気などを放射する。すると共鳴現象が起きて脳波が同調し、アルファ波となってリラックスするのである。

一方、M・G・リグという学者が88名の大学生を対象とした実験では、リズムが増せば楽しい幸福な感じがし、遅くなれば真剣な悲しい気分になるという。英語でUp beatが「明るい気分で」、Down beatが「暗い気分で」という意味になるのも、リズムの印象から生まれたものなのだろう。

さて、以上の見解をまとめると、リズムは衝動性や催眠性、攻撃欲や性欲などの本能的欲望などに影響を及ぼすことがわかるのである。
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by sigma8jp | 2008-11-18 21:34 | 「天球の音楽」と聖なる七音 | Comments(0)
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