◆火の精霊
サラマンダーは中世の錬金術師パラケルススが、著書「妖精の書」で言及した精霊です。地水火風の属性のうち「火」を司り、「四大精霊」のひとつにも数えられます。炎の中で自在に動くことができる反面、この炎から離れて生きることはできません。しばしば「火トカゲ」の名前で呼ばれることもあります。 ◆サラマンダーと山椒魚 もともとは、トカゲではなく山椒魚を差していたらしく、サラマンダーという名前も、ラテン語で「山椒魚」を意味するサラマンドラSalamandraに由来するものです。おとなしい両生類が火の象徴というのも奇妙な話ですが、古代ローマ時代、この動物は氷のように冷たく、火に触れるだけで溶けると考えられていたのです。恐らくは水辺に多く棲み、身体が粘液でヌラヌラと常に濡れていることからの連想でありましょう。 その「火に弱い」ハズの山椒魚は、同じく古代ローマ時代に存在した(と考えられた)有翼の火トカゲ「ピュラリス」のイメージと次第にごっちゃにされて、何故か火に強いトカゲと考えられるようになります。トカゲの仲間には、火に放り込むと体液を分泌して体温を下げようとするものがあります。いずれにしても、はっきりしていることは、パラケルススが指摘する遙か前から、このような「火に強いトカゲ」の存在が指摘され、その生態が考えられてきたと言うことです。 ◆サラマンダーと錬金術 この動物は、錬金術に欠かせぬ「火」を司ることから、錬金術そのものの象徴と見なされました。ゆえに、巷間の錬金術師たちはこぞってこの奇妙な「火トカゲ」を崇め、奉り、その存在を信じてきたのです。実在を疑わぬ人も多く、イタリアの彫金師チェリーニや、アイルランドのノーベル賞詩人W・B・イェイツのように、実際に「サラマンダーを見た!」と主張する人も少なくありません。ちなみに、イェイツは20世紀まで生きた人物です。アイルランドの独立運動にも参画しています。 実在が信じられた根拠の一つは、「サラマンダーの皮」と称するものがヨーロッパじゅうに広く出回ったことによるものです。この皮は、まるで綿のように柔らかいのに、火にかけても燃えるどころか焦げすらつきません。もちろん、その正体は精霊の皮でも何でもなく、今話題の石綿(アスベスト)の布に過ぎないわけですが、人々はそんな無味乾燥な真実より、火を食べて熱に強くなったトカゲの皮だ、あるいは火の糸を紡いで作った炎の布だ、というロマンチックな伝説の方を信じました。 江戸期の日本にも、しばしばこの「サラマンダーの皮」が持ち込まれたようで、発明家・平賀源内はこの不思議な布に「火浣布(かかんふ)」という名前をつけています。「火で浣(あら)う布」の意味です。 ◆サラマンダーの外見 サラマンダーの外見は伝承によってさまざまです。これは、広い地域で多くの人に語り継がれてきたためだと考えられています。一般的には、「火トカゲ」の名にあるように炎に包まれるトカゲの形と言われておりますが、人間の姿を取るとするものも多く、ヨーロッパの民話ではしばしば「女性」の姿で描かれます。 炎→情熱的→女性という連想によるものでしょうか。なお、情熱的な女性は死ぬとすべてサラマンダーになるという説もあります。 ゲームを含む現在は、ほとんどの場合、男性の形で描かれるようです。こちらは炎→燃える→攻撃的→男(漢)のイメージでしょう。アラビアの魔神イフリートのイメージも、もしかすると影響しているかも知れません。 ◆エンターテイメント作品に見るサラマンダー サラマンダーは四大精霊という属性のゆえか、敵役として、あるいは魔法の源泉として、多くのエンターテイメント作品にその名前が登場します。ただ、同じ炎系の精霊であるアラビアのイフリートと混同されやすいのも彼らの特徴で、地のノーム、水のウィンディーネ、風のシルフといった部分は共通しているのに、なぜか火の精霊のみイフリートに置き換えられているといった作品もしばしば見かけます。
by sigma8jp
| 2008-11-22 23:08
| 四大元素霊と精霊
|
Comments(1)
|
カレンダー
検索
最新の記事
カテゴリ
全体 『エメラルド・タブレット』 『ヘルメス文書』 『シークレット・ドクトリン』 神智学(神秘学) 古代叡智(グノーシス主義) カバラの奥義 タロットの奥義 錬金術の奥義 占星術の奥義 数秘術の奥義 ヘブライ・アルファベット22 神聖幾何学 360°「サビアン・シンボル」 グルジェフの「エニアグラム」 「フラワー・オブ・ライフ」 旧約聖書の「メルカバー幻視」 ■ 天使の個々の名前 ▽ 天使の階級と名前 四大元素霊と精霊 「妖精の国」 ファンタジーエン 水の精が戯れる「水の音楽」 「天球の音楽」と聖なる七音 鉱物幻想 = 「石の花」 「宝石」の霊的特質 「色彩」がもたらす心的作用 宇宙の神秘哲学論 イマージュの詩学(内奥宇宙) ノヴァーリスのロマン派文学 終末のロマン派芸術 「聖書と霊界」の風景画家 人体の七つの霊的中枢 高次な身体と霊的フィールド 眠れる蛇・クンダリーニの覚醒 オーラ幻視と未来予知 「超心理学」の体系と技法 「自然魔術」と「古代の儀式」 「願望実現」と「物品引寄せ」 「メスメルの動物磁気」と催眠 「夢見」の心理学・象徴解読 「体外離脱」と「臨死体験」 「心霊学」と「心霊科学」 イギリスの「降霊術と霊写真」 スェーデンボルグ霊界の摂理 暗夜の終末論と黎明の哲学 暗夜とキリストの受難 クリスマスの謎と宇宙の秘儀 『 ヨハネの黙示録 』の暗号 「契約の棺」の謎 「イシス・オシリス神話」 エジプト「死者の書」 エジプト「ヘリオポリス神話」 「フェニックス神話」の謎 「ピラミッド・テキスト」 ピラミッド&スフィンクスの謎 「ゾロアスター教」 古代ペルシャの「ミトラ神話」 「古代マヤ」の宇宙原理 古代アトランティスの叡智 ドゴン族の「宇宙神話」 神話に見る「通過儀礼」 「十二星座」に見る星の神話 堕天使と悪魔の階層 「ディオニソス神話」 プラト二ズム思想 プラトンの「エロス論」 両性具有「アンドロギュノス」 「アダムとイヴの楽園物語」 「宇宙創生の過程」を念写! 「コズミック・ファイヤー」 コスモスのニュー・サイエンス グルジェフの覚醒プログラム ユングの「アーキ・タイプ」 ユングの「共時性」 ユングの「個性化とマンダラ」 ユングの「精神の錬金術」 ユングのタイプ論 フロイトの(リビドー)精神分析 シュタイナー「復活祭の季節」 ■シュタイナーの「四季」 ▽・・・(春)『魂のこよみ』 ▽・・・(夏)『魂のこよみ』 ▽・・・(秋)『魂のこよみ』 ▽・・・(冬)『魂のこよみ』 ▽・・・(再春)『魂のこよみ』 ▼・『 アカーシャ年代記 』 前世回帰とアカーシャの記録 5月「ウエサク際」の儀式 月の28日周期と心的作用 「クリスタル・スカル」の謎 「アレキサンドリアの図書館」 宇宙の超知性体「ザ・ナイン」 「日本・ユダヤ同祖論」の謎 古神道・富士と鳴門の仕組 未分類 本ブログについて
【 記事の更新情報 】
本ブログは、管理人が、神秘学の世界観をインデックスとして、まとめてみたいという趣旨で掲載したものです。 本編の宇宙のプログラムに触れる前に、まず全体の骨子を理解するため、過去の偉人が残した様々な哲学や神秘思想を学びます。宇宙のプログラムを効率よく理解するためには最適なテキストとなるからです。その意味から、本ブログで紹介している多くのカテゴリは、本編の宇宙のプログラムを実践するに当たっての材料であり、そのための紹介文となっております。 又、ここに掲載されている内容は、主に(ネット・本・辞書)から引用し、編集したものです。 最新のコメント
タグ
ブログパーツ
記事ランキング
最新のトラックバック
画像一覧
|
ファン申請 |
||